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姫野さんはフリーランスのウェディングプランナーだ。
なぜフリーになったのか。
その背景にある想いを教えてくれた。

独立する道を選んだ姫野さんのそもそも話

会社員時代に、結婚式を作る仕事をしていた時期がある。
結婚式を担当した夫婦で、新郎が他界してしまったことがあった。
「悲しくてとてつもなくショックでした。まだ若いし」
手を合わせに行きたい。
でも自分が行って思い出させて悲しませたらどうしよう。
そう考えて悶々としていた。

「結局手を合わせにいきたいと思ってご自宅へ伺ったら、結婚式の写真や映像が仏壇の横にいっぱい飾ってあって、衝撃を受けたんです」
思い出させてしまうんじゃないかと思った自分を恥ずかしいとすら思った。
ふたりの中で良い思い出として残っていたんだと思いながら手を合わせた。
新婦さんから「あの結婚式があったから私頑張れます」と言ってもらえた。
「そんな言葉を言ってもらえると思っていませんでしたが、それだけのことをさせてもらっているのだと改めて、自分の仕事の重要性を感じたんです」

姫野さん写真

結婚式をしないカップルは入籍するカップルの半数いるそうだ。
「その方たちに、”結婚式をしてよかった”と思ってもらえる結婚式を作りたいというのが、私のそもそも話。それで独立して、”結婚式をしない”という人たちへ向けた訴求をしています」

求めているものを聞いてから提案する

今のお仕事は、結婚式をしたくないという設定から入っているカップルが相手だ。
結婚式をしてもしなくてもいい人たちが相手だとも言える。
「でも話をしてみると、したくないと言いながらみんな実はしたいんですよ。したくないならそもそも会うこともできないし、家の中で悩んでいる人はどこで情報収集していいのかも分からないんです」
だから、FACEBOOKやインスタグラムで発信をする。
彼らが見そうな媒体を活用している。
「それを見て私のところに来たら、結婚式をしたくないという人は100%決まります。もやもやした気持ちを解決したいから」

やってきた夫婦はまず解決したいことを言う。
姫野さんはただただ聴く。
最後に「もし、今の不安がなくなったら結婚式をしたいですか」「したいです」
必ずこうなるそうだ。
「そこまで話せたら、あとはふたりの理想に近づく提案をするだけ。だからこそ、最初の段階ではまずお客様の思っていることを全部紐解くことに集中します」

人の悩みを解決するというだけの話

カウンセラーのような仕事ぶりだ。
「でも聞く力と考える力が無いと営業はうまくいかないですよ。例えば周りから見ればうまくいっている人にだって悩みは絶対にあるし、言葉にしてみると解決の糸口がわかる」
何に悩んでいるかは分かっていないけれど悩んでいる。
悩んでいても原因まで考えていないから。
課題を見つけるところは、忙しすぎてできていない。
そういう事例、確かに多そうだ。
「そこを聞いてあげればいいのではなかろうか。人の悩みを解決するというだけの話」

姫野さん写真

「聞く」のコツ

聞くことが大事だと分かりながら、どう聞いていいか分からない人もいそうだ。
「どう聞かれたら嬉しいか、じゃないですかね」

普段から人と話すときやお店で買い物をするときにもヒントは転がっている。
「心地よいお店に行ったら、なんで心地よいのかを考えますね。それを営業に活かしていく。日常の過ごし方もそんな意識でやってます」
教科書通りの対応でうまくいく世界ではない。
「だからマインドや自分と違う視点が大事です。お客様にどんな気持ちになってほしいのか。自分の中でのゴールを意識する。そうすれば、営業スタイルもブレません。相手のためになる行動をするだけです」

顧客を想う質問をする

会場選びの相談の時などに顕著だ。
「例えば”なぜこの結婚式場と比べているのか”と聞くことは、自分のためにする質問です。行った理由を聞くと同時に潰す理由になるんです」
自分の提案力にフォーカスするとこういう質問が出る。
「”なぜ結婚式をしようと思うのか” “誰に喜んで欲しいのか”と、お客様のことを想う問いかけをしてからこちらができることを提案することでお客様からの信頼度は急上昇します」
同じ”なぜ”の質問にも自分のためのものと相手のためのものがある。

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「”私ができる提案はこうです”と言い切りにして、”必要かどうかはしっかりふたりで考えてください”と言っています。即決も絶対にしません」
即決をさせない?
「そう。責任と覚悟をもってもらうためには考える時間が必要なんです。考えるための余韻を作ります」
押し込まない。
これが逆に”もっと教えて欲しい”という思いにつながったりする。
「お客様は、初めての場所で初対面の人と会話をするだけで気も遣うでしょうし、かなりのエネルギーを使っているはずです。そこを理解して冷静に判断してもらうための余韻をつくることは、思いやりのひとつだと思います」

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姫野 有美(ひめの あみ)さん
1982年生まれ。結婚式場所属のウェディングプランナーをはじめ、これまでにいくつかのお仕事に就業されています。2013年10月にフリーランスとして独立し、nanairo-weddingを立ち上げました。フリーランスのプランナーだからこそできる自由な発想とスタイルを強みに結婚式を提案しています。また、toi styleの商号で営業職のコーチとしてもご活躍されています。

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