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五十嵐さんのサービス力の源は何だろうか。
プロが力を発揮するために必要なものはなんだろうか。
日々の取り組みの奥底にある考えを聞いた。

相手を想うからこそプロの力を発揮できる

五十嵐さんが思うそのお客様のベストスタイルと、お客様が思うベストスタイルが違う時、五十嵐さんはどうするのだろう。

「ファッションは背景が重要なのですが」
コンクリートジャングルで着る服と大自然をバックに着る服は異なる。
五十嵐さんはシーンに合っているかを踏まえて提案を考えている。
「でも、お客様の考えと違うことはよくあります」
そんな時にも否定をしない。
お客さんの話をもとに「こういうスタイルも実はあるんですよ」と伝える。
「お客様の考えと違う方向に一気に振りすぎると副作用が出るのでゆっくりやります」
足かけ2年くらいのお付き合いの中で大きく変わっていった人もいる。

一方で、お力添えできないと判断するとお断りすることもある。
「クラシックなスタイルを売っています。求めるスタイルがあまりにもかけ離れているとお断りすることもあります」
自分の専門としての守備範囲を見極めているからこそ断ることができる。
「守備範囲を見極めるのもプロの仕事だと思います。その守備範囲の中でどれだけ無理ができるかもプロの仕事です」

五十嵐さん写真
もう1つプロ論を聞かせてくれた。
「今ある状況でいかに精一杯高いパフォーマンスが出せるかが大事ですね」
今ある状況の中で取り組みを繰り返すうちにパフォーマンスの水準が高まっていく。
あれがないからできない、これがないから無理だ、とは決して言わない。
「目の前の人にできることをしようという熱い想いが一流のパフォーマンスを生みます」
テクニックも知識も使いようだ。
うまく使うためには人への想いが不可欠だ。

日本発信でアジア圏のファッションリーダーに

オーダーメイドスーツの専門家として走り出した五十嵐さん。
もしスーツ以外の物も扱うとしたらどんなものを手に取るだろうか。

「アパレル関係の小物や身の回り品で、やっぱりこだわっている商品があったら扱いたいです」
こだわりのアイテムを直接紹介するというところに重きを置いている。
スーツと同じ姿勢だ。
「それを通じてメーカーさん側との相互協力も生まれたらいいですね」
アパレル業界を元気にしたいという気持ちがにじむ。

五十嵐さん写真
「ほかに、海外の販路も見ていきたいです」
いま、北京でオリジナルの展開をしている。
「北京での展開には期待しています。ただ、人材が課題です。専門的なものを売れる人間が育っていないんです」

アパレルはいまだヨーロッパが強いが、今後アジア圏が伸びてくると予想している。
「日本製のモノづくりは重宝されています。日本製はやはりいいですよ。イタリア人の取引先にも”このクオリティをこの価格で出せるのはなぜなのか”とビックリされたりします」

“仕立て屋さんとのお付き合い”という文化がヨーロッパには普通にある。
アジアはこれからだ。
「アジア圏のファッションリーダーが日本というのは揺るぎないです」
市場としての価値を見出されている国は日本以外にある。
その国々にいる人たちは日本を見ている。
日本人の職人も世界中でフィーチャーされてきている。
「日本発信でアジア圏のファッションリーダーとして仕立ての文化を築きたいです」
夢のある話を聴かせてもらった。

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五十嵐 裕基(いがらし ゆうき)さん
1985年生まれ。オーダーメイド紳士服販売のLECTEUR(レクトゥール)代表。南麻布に大人の隠れ家さながらのサロンを設け、紳士服をフルオーダーやパターンオーダーで販売されています。「提供しているものは服だが売っているものはスタイル」をモットーに、お客様が一番映えるスタイルを提案されています。前職は衣料品ブランドの販売員。自社の商品のみにこだわらずお客様に最も似合うスタイルを提案してきた異色の販売員でした。

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